「この店、図面ないでしょ(笑)?」
完成した店を見た同業関係者に言われることがあります。我々にとっては嬉しい誉め言葉です。もちろん精密な図面がありますが、飲食業のプロであるほど、“ありえない店”に見えるのかもしれません。
我々が設計に取り掛かる前、設計士とは内装や外装のイメージからではなく、必ず店の存在意義やストーリーから共有します。
「この店は、何故この場所に必要なのか」
「この店は、どんな人がどう働くのか」
「この店は、どんなお客様が集まるのか」
「この店は、10年後どうなっているのか」
外装や内装のイメージだけでは「見せかけの店」になってしまうからです。
私達が作りたいのは単に「流行る店」ではなく、
そこに「なくてはならない店」。
我々の作る店は、たとえブランドが同じであっても“金太郎アメ”にはしない。その町、その場所ならではの文化となる、なくてはならない「たまり場」を作るのが流儀。
繁盛の神様を呼び込むため、設計段階から″魂″を吹き込んでいく。
実際の設計は常に満席を想定しながら細かな作業が延々と続きます。
吸い込まれるファサード。
全席から感じるグルーヴ感。
狂わせる凸凹表現。
料理人魂がギラつくキッチン等々…。
関係各社からの「それは無理でしょう」から始まる我々のプロデュースには無理な理由を探すのではなく、可能な方法を探し続ける仕事人の執念が必要です。