人材からの業態開発

-セカンドキャリア活かす飲食店

時に、チェーン飲食店が「味気なく」感じてしまう理由は、働いている「人」の個性が感じられないからではないでしょうか。

もちろん、マニュアルとユニフォームを身につけることで、人柄に関係なく、同じ味やサービスが提供できるのがチェーン店の良さであり、そうでなければチェーン展開はできません。

我々の業態プロデュースはそれとは違い、時として「何をやるか」より「誰がやるか」に重きを置きます。業態に人材をはめ込んでいくのではなく、人材の“個性が際立つ業態”を作ります。

人材の実例で言うと、

チェーンスーパーの台頭により廃業を強いられた「街の魚屋の店主」

社会復帰したい、子育てを終えた「お母さん」

現役を引退した“ちゃんこ番”経験のある「力士」

など、「セカンドステージ」を求めておられる方々です。皆さんの共通点は「懸命に生きてきた」ことです。

懸命に生きてきたからこそ、セカンドステージへの挑戦には“ためらい”があります。

「この世界しか知らない自分が務まるのか?」

「自分が自分でなくなってしまうのではないのか?」

一般的に「セカンドステージ」と言えば“過去の自分を捨てること”が求められますが、やはり初期衝動は長続きしません。我々は過去や個性を殺すのではなく、その方の経験をそのまま生かせる飲食店をプロデュースします。

「元魚屋が始めた鮮魚酒場」

「お母ちゃんが仕切る ホルモンすき焼き」

「ちゃんこ番力士が作る 力士めし」

内装、メニュー、サービス等も全て、彼らが自然な姿でイキイキ働いている姿をイメージしながら作り込んでいきます。完成したお店に立った彼らの姿にオープン特有の違和感はなく、不慣れなオペレーションも「味」になります。

自分が輝ける居場所を得た彼らは、本来の懸命な気質を活かして働くうちに、自然と店に魂が宿り、血が通い出し、そこで暮らしているかのような空気感が生まれます。そこに「働かされている姿」はありません。

お客様はその空気感を肌で感じ、まるで店主の家に招かれたような気分で飲食を楽しめるのです。

もちろん、お店で働くのは彼らだけではありません。彼らには自身と同じ境遇の知り合いがおり、同じ想いを持ったメンバーとして迎え入れたり、ゆくゆくは想いを受け継ぎ、店主交代も可能です。そうすれば、ブランドコンセプトがブレることもありません。

「人材不足」、「業態の短期的劣化」が課題の飲食業界。

時代や社会情勢により、自然発生するセカンドキャリアを求める人材。

「人口問題」を抱える今後の日本においても、両者のマッチングは業態開発のポイントになると考えています。