-いつでも気軽に「産直」を。都心ならではの24hマーケットに対応-
居酒屋業界では異端の「24時間営業」を始めたのは、2011年3月、日本列島を襲ったあの大地震の直後。
前年の11月「有楽町産直飲食街*」は、JR新橋駅~有楽町駅の高架下に続くインターナショナルアーケードにオープン。 (*現有楽町産直横丁)
「何をやってもダメな場所」と言われた不毛地帯。当初の営業時間(17:00~5:00)をもっても客足は鈍い。また、高架下という立地柄、ネズミ被害が多く、駆除業者が提示してきた見積り金額は300万円。途方に暮れかけていたその時期、追い打ちをかけるように起きた大震災。未曽有の災害は東京の″夜の明かりと人″を消しました。
「夜、飲みに行くのを自粛するならランチを始めましょう!」
「ネズミに300万も払うくらいなら、人にお金を払いましょう!」
「いっそ開店準備も閉店作業もない24時間営業にしましょう!」
この“失意の裏返し”とも取れるスタッフの振り切った提案から全てが始まりました。
『有楽町、日比谷の深夜は売れない。土・日はもっと売れない。』
飲食業界の常識を疑わない周辺飲食店や関係業者の冷ややかな視線の中、「365日24時間営業」を掲げ再スタート。
周囲の予想通り、マーケットの壁は厚く、苦戦を強いられる日々との戦いが続きましたが、あきらめることなく照らし続けた明かりは、その厚い壁に少しずつ風穴を開け始めました。
早朝に仕事を終えたサービス業や設営業の方々。ホテルチェックアウト後、新幹線の時間を待つ出張族。チェックインを待つ外国人観光客。昼間から取引業者と飲むことが許された会社幹部。
それまで「ファミレス」の選択肢しかなかった人達が、不毛と言われた時間帯の空席を埋め始め、″そこにないから埋もれていたマーケット″に響き始めたのです。
「全国の産直食材をいつでも気軽に楽しめる たまり場」
当初のコンセプトを24時間体制でも変わらず貫き通した結果、
「いつ行っても飲める、何でも食べられる、しかも美味い。」
そんな評判が独り歩きし、最大の課題であった土・日も昼飲み客や平日のリピーター客で金曜日同様に賑わい始めました。
有楽町産直飲食街は、都心の24時間マーケットに応えるべく、「そこになくてはならない店」として、街に生きる人々の″たまり場″になり、その光景は業界の常識を覆し、深夜営業・土日営業を始める飲食店が増え、震災後、明かりと人が消えた街に活気が蘇りました。