脇浜豊 1985年生 長崎県出身 有楽町産直横丁「九州沖縄食市」調理
地元長崎で調理師学校からホテルに就職、宴会洋食からスタートした料理人人生。
「料理にハマっていくうちに、色んな料理や飲食店を知りたくて東京に来ました。」
上京後、飲食人であれば誰もが知る有名企業に入社し、中でも最も有名な代官山のエスニックレストランに配属。営業時間中次々に入れ替わるお客様への調理は、前もって料理を準備するホテル特有の宴会料理とは違い求められたのは分かれたセクションでオーダーを手際よくこなすスピード。
「東京で憧れていたオープンキッチンだったんですが、お客様の顔なんて見る暇もなかったですね(笑)」
上京した目的を果たす為の無我夢中の5年が過ぎた頃、再認識したのは地元長崎を含めた九州料理。
「東京で色んな飲食店を知るうちに九州の食の懐の深さを感じるようになったんです。東京には大勢の料理人がいる中、自分の個性を出すためにはやっぱり出身の九州料理だなと。東京ではまだ知られていない料理もたくさんありますし」
「九州料理」をキーワードに次のステージを探し出したタイミングで出会った「渋谷横丁」のオープニング募集。
「オープンする19店舗の中に『九州食市』があるのを知って飛びつきました。会社ホームページを見たら、前職のレストランでお世話になった先輩がこの会社で活躍されてたんです。もうココしかないなと(笑)」
調理技術は申し分無し。繁盛店での経験もある。何より九州人である事。「九州食市」のオープニングスタッフにふさわしい人材であることは間違いなかったが、ホテルやレストラン出身の料理人が超えなければならない壁がある。
渋谷の新築商業施設、総面積1380㎡に19店舗が一斉オープン。総席数1500超。各店舗ごとに設置されたコックピットのようなキッチンで少人数での仕事となる。広くスマートなキッチン、大勢の料理人がセクションごとに担当する仕事になれた料理人には過酷ともいえる環境。オープン告知をほぼしなかったにもかかわらず、「渋谷横丁」には我々の予想を超える5000人以上のお客様が初日から連日押し寄せた。
「代官山の繁盛店で働いていたので多少の自身はあったんですが、全くの別次元で全て覆されました(笑)。でも、こんな経験ができる料理人は我々しかいない。これをやり切れば相当な力がつくと考えれば楽しくなってきたんです。何より、今、間違いなく東京一のステージで勝負できていることに感謝しています。」
「慣れてくると、やりたかったお客様との会話もできるようになりますし、お客様同士の会話を聞きながら味の調整もしています。何より色んな九州料理を手作りで提供できるのがうれしいですね。キッチンの管理も任されているので自分で商売している感覚もあります。」
「ここは料理の経験をそのまま活かせてもらえる会社です。ガチガチの料理人の方は当初の僕みたいに驚くことが多いと思いますが(笑)、必ず考え方が柔軟になって仕事の幅が広がると思いますよ。」
※2021年から昇格により有楽町産直横丁「九州沖縄食市」に異動。