御座船 安宅丸
オープンストーリー
東京の夏の風物詩といえば『屋形船』です。
特別な環境、空間、お料理。粋で贅沢な日本の娯楽ですが、一般的なイメージは、「夏限定イベント」「団体予約」「天ぷらとお造り」。
かねてより、チョットもったいないな。と感じていたところに、絶好のご依頼をいただきました。
『いつでも、誰とでも、もっと気軽に楽しめないか。』
東京湾、日の出桟橋に堂々と浮かぶ「御座船 安宅丸」は瀬戸大橋開通記念博覧会で造られた客船。“海上のパビリオン”としての役割を終え、東京湾クルージング船として巨匠、水戸岡悦治氏により全面リニューアル。その一環として、料理・サービスに関するプロデュース・運営を託されました。
安宅丸は一般的な屋形船ではなく、利用者のメインは国内外の観光客。
運行中の絢爛なエンターテイメントショーが売りです。
まずは公演を楽しみながらのお料理を見直しました。
それまで提供されていた、定番パーティメニューが並ぶビュッフェスタイルを一新し、東京市場をイメージできる「マグロづくし」「特大タラバ蟹」をメインに、シンプルかつ豪快な、印象に残る構成に。
本プロジェクトの真のターゲットは一般客。
まずは街と船の「距離」を縮めるため、「新橋」と船が出航する「日の出桟橋」までを専用定期送迎バスで繋ぎ、その日の思い付きで気軽にナイトクルージングが楽しめる様にしました。
船上でのメニューもカジュアルに和洋居酒屋メニューを多数用意し、調理したての一品をドリンクカウンター周りにデリスタイルで販売。
お好みでチョイスしていただき、テーブルだけではなく、デッキでも気軽に飲みながらつまめるスタイル。
海から見渡す東京の夜景、潮風に吹かれながら、いつもの仲間とアツアツのから揚げをキンキンの生ビールで流し込む。
約100分の東京湾上飲み会。
下船後はまたバスに乗り、約10分で新橋に到着。
盛り上がりをそのままに二次会へと向かえます。
同じ船に乗り合わせ、同じ夜景を眺めると、ある種の一体感が生まれます。
船内に個室はなく、席の区切りもありません。たまたま出会ったお隣さんと自然と会話が弾む、東京の新たなコミュニィティー、海の上の“たまり場”が誕生しました。